top of page

Y7サミット2016 インタビュー 

 

Y7サミット2016  代表団 日本代表 頓所葵さん


今回はY7サミット日本代表団の頓所葵さんに、Y7サミット参加の経緯、国際社会でのユースの立ち位置、Y7サミットに向けた意気込みなどについてお話を伺いました。

 

自己紹介をお願いします。

 

頓所:初めまして。早稲田大学政治経済学部 国際政治経済学科2年の頓所葵と申します。幼少時はフィンランドに4年、インドネシアに6年住んでおり、インターナショナルスクールに通っていました。 大学では課外活動として模擬国連の活動をしており、国際問題を様々な担当国の立場から議論しています。

 

Y7サミット2016日本代表選考に参加した経緯を教えてください。

 

小さい頃から海外に住んでおり、多様な出自の人たちに囲まれて育ったので、国際関係には敏感な子供でした。例えば、政府間で日韓関係が悪化すると、自然に韓国人の友達は何を考えているのかな、など、疑問に思っていました 。そういった経緯で、大学では模擬国連というサークルに入り、世界各地の国際関係と問題について学びました。そんな中、特に中東のテロ問題や、イスラエルパレスチナ問題に興味を持つようになりました。しかし、模擬国連では、知識を広げることはできますが、現実の政治には関わることはできません。

 

特に移民・難民問題に興味を抱き、去年の夏に外務省でインターンをしました。外務省では、中東アフリカ局の中東第1課という、イスラエルやパレスチナ地域専門の部署に配属されました。その頃、シリアの難民危機が大きな問題になっており 、シリア難民に関する資料をまとめる作業を経験しました。そこから、日本の難民対策について考えるようになりました。日本は現在、多くの方が難民認定申請しているのにも関わらず、難民を殆ど受け入れていません。こういった事例から、自分が掲げる理想と現実の乖離の存在に気付き、日本・世界に対し政策提言を行うことに興味を持つようになりました。

 

また、他にも、安全保障に関して、若者としての自分が理想とする未来と、現在世界が今向かう先に隔たりを感じ、 納得ができずにいました。Y7の存在を知った時、この機会を利用して政治に関わり、G7首脳陣たちに提言というものを行いたいと思い、代表団選考に応募しました 。

 

海外で半生を過ごした頓所さんにとって、日本を代表するということについてどう思われですか。

 

人生の半生を海外で過ごしていたこともあり、今の 一般的な日本の若者が考えていることを代表できるとは思っていないです。しかし、こうやって代表団に選ばれた今、事前イベントを始めとする他の日本人ユースと関わる機会で視野を広げ、当日は自分の 思想にとらわれず、日本の若者を代表して、日本の国益のこともバランス良く考え、Y7サミットに挑みたいと思っています。

 

社会人中心の日本代表団の中で唯一大学生ですが、そのことについてどう思われますか。

 

例年、Y7サミットの日本代表団は殆ど学生のみで構成されていたので、最初は非常に恐れ多かったです。 しかし、他の日本代表の皆さんが本当に優しくしてくださり、気後れする必要はないと気がつきました。ま た、皆さん個々の専門分野について詳しいので、お話ししているだけでも非常に楽しく、勉強になります。 折角、多様なバックグラウンドをお持ちの社会人の方々と関われる機会なので、お仕事のお話なども聞かせていただくことは自分のキャリアにとって非常に良い刺激になると思っています。

 

Y7サミット2016での担当トピックについて教えてください。

 

私は、国際安全保障と対テロリズム(International Security and Counter-Terrorism)というトピックを担当しています。今のところ、このトピックをさらに2つのカテゴリーに分け協議を行う予定です。その2つのカテゴリーというのが、(1)シリア問題 (2)ISILのテロの脅威です。日本代表としての主張は未だ本決定していませんが、(1)については、これ以上難民を始めとする被害を防ぐために、政治ゲームのような行動はやめる必要があると思っています。他のG7諸国の代表団がどのような意見を持っているのか、日本がどう関われるのか、非常に興味を持っています。また、(3)については、ISILがSNSなどを通し若者を勧誘している現状を踏まえると、若者がキーポイントだということが良く分かります。なので、若者の人材育成などについても協議ができたらいいと思っています。

 

現在の外交でのユースの立ち位置についてどう感じておられますか。

 

基本的には、大人の政治家に比べると、ユースは知識量やロジックでは及ばないと思っているので、ユースが語る内容のほうが正しい、など主張することは重要だとは思っていません。しかし、2、30年後の政治や世界を回していくのは私たちなので、私たちユースの考えを世界の政府に認識していただき、それを踏まえた将来の世界のプランニングを行って井田炊きたいと思っております。今の4、50代の方々と、若者では、価値観が大分違うのではないでしょうか。例えば難民に関しても、日本では保守的な思想を持つ政治家が多いとおもいます。しかし、果たしてユースは同意見でしょうか。意外と、若者たちはもっとオープンで、リベラルな面もあるかもしれません。こういったユースの意見にも耳を傾けて欲しいですね。特に、私が担当しているテロ対策などは、若者たちがISILに利用されるなど、直接被害にあっている分野なので、ユースの声は政府にとっても重要な参考意見だと思っています。

 

どうしたら上記の問題が改善できると思いますか。

 

まず、若者がもっと政治に関わっていくためには、政府側がすべきことと、若者側がすべきことの2点に分かれると思います。政府側からするべきことは、若者が政治に一層関心を持つために、雰囲気や環境を教育現場等で作ることが重要だと思います。若者のチャレンジ精神や探究心を阻害することのないようにせねばなりません。選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられたことも効果的だと思います。また、若者側は、将来の日本、そして世界を担うのは自分たちだと、きちんと自覚し、自分が政府に持つインパクトの重要性を認識し、常にアンテナを張ることが大切ですね。

 

今年のサミットは日本で開催されますが、日本代表として、日本のアピールもしていただきたいと思っています。

 

日本は、良い点と悪い点が紙一重だと思います。海外に住んでいて思ったのは、日本人は協調性が強い民族であることです。その分、気を使ったりもしますね。しかし、協調性がある民族であるためか、街も比較的綺麗で、治安もいいと思います。他国のスーパーでは、お会計をする前に食品を食べ始める人などを見ましたが、 見かけませんよね。

 

その他のいいところといえば、四季がはっきりしていて、四季折々の楽しみがあることですね。食べ物も本当に美味しいです。

 

G7各国から集まる代表団に、日本のおすすめスポットを教えてください。

 

東京に限定したら、築地、浅草、原宿の3箇所を回れば日本を大分見ることができるのではいか、と思います。築地では新鮮な魚を食べられますし、浅草では日本の神社をお参りすることができます。また、原宿では日本のポップカルチャーを体感できるのではないでしょうか。もちろん、東京以外にもいいところはたくさんあります。北海道や京都などは有名ですが、新潟もいいですね。日本も東京を見ていると都会のイメージがあるのですが、田んぼが広がっている田舎もたくさんあることも知ってもらいたいですね。

 

頓所さんが尊敬する偉人は誰ですか。

 

私が尊敬する偉人は、杉原千畝さんです。杉浦千畝さんは、第二次世界大戦中に外交官として活躍されました。日本のシンドラーと呼ばれているのですが、外務省の訓令に反して、ユダヤ人を中心とした6000人の避難民にビザを発給したことで有名です。当時はすごく批判されていたのですが、今では彼の勇気ある行動は国内外で評価されています。国に反対されても、自分の正義感を貫いていることは素晴らしいことだと思います。同じ大学出身ということもあり、身近で尊敬している存在です。

 

外務省でのインターン経験や、外交官を尊敬しているとのことですが、外交官に興味をお持ちなのですか。

 

興味はありますが、就職活動はまだ先なので他の可能性も探索したいと思っております。

 

Y7サミット2016で楽しみにしていることを教えてください。

 

日本に住んでいると、日本人の友達以外と関わる機会があまりないので、他の国の人たちの話が聞けることをとても楽しみにしています。Y7サミットのテーマ内外関わらず各国の代表団の意見を聞きたいと思っています。例えば、アメリカの代表団には、アメリカ大統領選挙についての意見を聞きたいです。イギリスやイタリア、フランスなどヨーロッパ各国の代表団には、EUのことをどう思っているかを聞きたいですね。もちろん自分の意見も発信したいのですが、それ以上に今は他の人たちの話を聞けるのも楽しみにしています。

 

最後に、Y7各国の代表団へのメッセージをお願いします。

 

今年は日本が開催国ということもあり、非常にワクワクしています。代表団の皆さんに 日本の魅力が伝わるといいな、と思っています。日本代表団は皆さんに会ってお話を聞くことを楽しみにしています。Y7サミットでは、お互いを尊重しながら、有意義な話し合いをしましょう。See you next month!

 

(高橋 梨々花)

1994年生まれ。早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科に在学中。半生をフィンランドとインドネシアで過ごした影響で、世界政治と国際関係に興味を持つ。本サミットでは国際安全保障・対テロリズム対策交渉担当。

bottom of page